記事 1 sec#75
狙い: 浜之町の道祖神祭りから始める。進んで名乗り出る人がいるわけではない会計を町内で順番に務め、売上を受け取った会計が経費を支払う。誰か一人の熱意ではなく、役目が次の人へ移ることで祭りが続いている光景を冒頭に置く。
道祖神祭りの会計は、誰かが進んで名乗り出て引き受ける役ではない。町内で順番が回ってくる。売上の金を受け取り、そこから祭りに必要な経費を払う。自分の番が終われば、帳簿は隣の家へ渡っていく。やりたい人が現れるまで待つのではなく、やりたくない人が役から降りるでもない。誰も名乗り出ないのに、誰も降りない。その静かな連なりのなかに帳簿があり、祭りの金があり、翌日の総出の作業がある。外からまとまったお金が来るわけではないから、助成の終了を境に切れることもない。町内を一周する役目が、そのまま祭りの時間を先へ送っているように僕には見えた。[trade#157] [moment#2590]
ここでは、始めた人の熱意をたどろうとしても、ひとりの顔には行き着かない。会計は次の会計へ移り、売上は経費になり、翌年にはまた別の家が帳簿を持つ。何十年も自前で回っているものの手触りは、声の大きな呼びかけより、断られずに渡っていく帳簿の重さに近かった。[trade#157] [moment#2590]
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