← 号「seisyoness #01」 · 特集「先に出す人たち」

誰も直さない物件を、杉山さんは直しています。 sec#86

対照 · v2 · 本人の直接編集
狙い: 台町会館の蛍光灯の下へ場面を移す。地元利用なら無料で借りられる会館、町内会の予算、冷たい飲み物だけを受け取って動く人、写真や広報など各自の仕事を持ち寄る人を書く。佐々木さんが地域の人の「やりたい」を聞き、会館の借り方を教えてフリーマーケットの場所を取る流れと、「仕事を遊びにする」という声を置く。その近くに、「舞台をつくるから手伝ってくれ」と呼ばれ、僕が手を動かした短い場面を挟む。できた舞台が、お茶を飲んだり友達とご飯を食べたりするときに座る場所だったところまでを書く。約800字。

国府津の通りに面した一角に、杉山さんが直した建物が点在している。駅から歩いて数分の範囲だ。杉山さんは五十二歳。五年ほど前に建築関係の会社をやめて、いまの活動を始めた。誰も手をつけない空き物件を、国府津で十二件ほど買い取っている。不動産業者が匙を投げたもの、屋根が傷んだもの、人が住まなくなって何年も経ったもの。それを自分の手で直す。壁を剥がす。床を組み直す。配管を通す。電気を引く。直した先から役割を与えていく。一軒はシェアキッチン。一軒はスタジオ。一軒はコワーキングスペース。分散した拠点には Blend という屋号がついている。拠点は国府津だけではない。隣町の曽我には、旧・小田原市曽我支所を再利用した「ソガブレンド」がある。関東大震災より前に建てられ、小田原市の登録有形文化財になっている蔵は、いまは展示と販売の場だ。商店街が来年で百年になるという銀行の建物も、改修の途中にある。宿があり、保育園があり、海沿いの木造倉庫はイベント空間になっている。全部で二十一。それを杉山さんが一人で管理している。人件費がかからないから黒字なのだという。

曽我の拠点の一角には、解体で出た材と什器が積まれている。ここにあるものは全部、これまでの現場から集まってきたものだ。Blend の物件だけではない。移住者が店を始めたいというときに物件を探したり、デザインの相談に乗ったり、大工や建築士を斡旋したりもしていて、そういう現場で出たものもここに入る。壊した家から出たものが、次に直す家の棚になる。

改修中の家の屋上に上がると、富士山と箱根の山と海が見える。寂れている町だけど盛り上げていきたい、と杉山さんは言った。ここを訪ねてくる人は、東京での生活を経験してから戻ってきた人が多い。

会話 #196

記事: section#72

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版履歴

v1 · machine · 2026-07-20 06:46

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台町会館に入ると、蛍光灯の光が室内を照らしていた。ここは地元利用なら無料で借りられる。大農は町内会から予算を受け取るが、人件費には使わない。準備や運営を手伝った人に出るのは、冷たい飲み物くらいだという。写真を撮れる人、広報ができる人、段取りができる人が、それぞれ自分の仕事で使っているものを持ってくる。[moment#3213]

⚠[要検証] 佐々木さんは、地域の人が口にした「やりたい」を聞く。自分が全部を決めて引っ張るのではなく、その声を拾い、実現するところを手伝う。「リーダーだから発言権があるわけではない」と佐々木さんは言った。ひとつの企画の横で、別の企画が動き出し、それぞれの人が進めていく。[moment#3210]

⚠[要検証] フリーマーケットも、地域の人がやりたいと言い出したところから始まった。佐々木さんは台町会館の借り方を教え、場所を取った。会館の使い方を知っている人が手順を渡し、言い出した人が催しを進める。そこに金銭の対価はなかった。[trade#304]

町内会にもともとある行事と、新しく持ち込まれた企画が同じ場所で動く。写真家の仲間は休みの日や芸術祭に写真や広報の仕事を持ち込む。そこで聞いた言葉は「仕事を遊びにする」だった。守るだけなら仕事になる。遊びを入れながら、締めるところは締める、と話していた。[moment#2998]

その少し前、僕は「舞台をつくるから手伝ってくれ」と言われ、手を動かしたことがある。舞台と聞いて、何かを上演する場所を思ったが、できるのは、お茶を飲んだり、友達とご飯を食べたりするときに座る場所だった。頼んだ人がいて、僕は手伝い、座れる場所が残った。[moment#887]